民泊・旅館・ホテル新規開業に必要なものとは?宿泊施設の開業に向けて必要な要素を4つ解説しています。
この記事ではこれから宿泊施設を開業する方へ向けて、必要なものを紹介しています。将来的に宿泊施設をオープンしたい方、これからホテルや民泊を開業する予定の方は、ぜひご参考にしてください。
新規出展が進む宿泊業界
ホテルの新規開業を検討するうえでまず確認したいのが業界のトレンドです。
国土交通省観光庁によると令和3年6月7日の時点における民泊の届出件数は29,110件であり、2018年民泊新法の施行以来いまだ右肩上がりが続いています。
またホテルバンクの調査では2020年1月の段階で総宿泊施設数は51,987施設と発表されており、これは前年に比べ2.8%増加に至っています。
政府の方針としてもオリンピック・パラリンピックを起爆剤として2030年までに6000万人の訪日外国人の受け入れ目標を示しており、宿泊施設の基盤強化の音頭は今後も続くことが予想されます。
ホテル開業に必要な資金の目安
ホテル開業にはどの程度の資金を必要とするのでしょうか。施設の立地や規模によって違いがあるため一概には言えないものの、およそ1500万円~3000万円が必要とされています。
その内訳の大軸となる経費項目は「建設・リフォーム費」「人件費」「広告宣伝費」「物販購入費」の大きく4つです。
建設・リフォーム費
比較的安価な土地が見つけやすい地方での開業は建設費用の抑制につながります。
また昨今の流行りとして「コンバージョン」タイプの宿も注目されています。
コンバージョンとは、マンションなど、元から存在する建物をリノベーションして宿泊施設に改築することです。建設予算をかける必要もなく比較的お手軽に開業を目指せます。また古民家や空き家を使うことでリフォーム費用もぐっと抑え込むことができるでしょう。
そして、もともと住居施設だった場合、今回のコロナのような事態になった時に賃貸に戻せるのも魅力です。
人件費
次に人件費です。フロントスタッフや清掃員など、人を雇って運営する場合にはもちろん人件費がかかります。加えて、新規採用の際には求人広告の掲載などの採用費も発生します。
施設の規模感から適切な運営組織を逆算し、組織に必要となる人材とポジションを加味したうえで人件費にかかる予算を検討していくとよいでしょう。あらかじめ、業務量や業務幅をより具体化しておくことでムダな出費を抑制することができます。規模ごとに必要となるスタッフの目安は後ほど説明します。
集客
集客のためには、当然、地方ではなおさらインターネットを使った宣伝基盤の準備は必要不可欠です。ホームページの作成やSNSなどメディア媒体は素人でも比較的簡単に導入できるようになりました。
しかし時間と労力をかけずに導入を試みる際は、外部の関連会社に委託する必要もあります。広告宣伝費は費用を重ねるほど安定した集客へつながるので多めに予算を確保するとよいでしょう。
物販購入費
4つの経費項目の中で物販購入費はコストカットできる部分が多くあります。
例えば客室に設置するテレビやアメニティはあると便利ですが、ターゲットとなる客層からニーズがないと判断できれば絶対必要とも限りません。
例えば主な客層が男性のサラリーマンであるとわかっているビジネスホテルに女性用のヘアゴムをおいてもニーズを満たしていないばかりか、ムダな費用を生み出しています。
また周辺地域の環境を事前に把握することも重要です。例えば目の前に24時間営業のコインランドリーがあるような土地で中規模の宿泊施設であれば洗濯機はなくても困らないと想像できるでしょう。
ホテル開業に必要な許可申請とは?
旅館や民宿、ゲストハウスなどの宿泊施設を運営するには必ず国から「旅館業の許認可」を受けなければなりません。これは地方自治体に専用の申込用紙を提出することで取得が可能です。
規定の要件をクリアしていれば約15日程度で営業許可がおります。自治体によって求められる提出資料や申請にかかる時間が異なることだけ注意が必要です。
必要となる許可は営業施設の種類ごとに「旅館業法」「民泊新法」「特区民泊」の3つに大別されます。
旅館、ホテルの場合旅館業法の基準を満たす必要があります。。またホテルや旅館に区別されない民泊を運営する際には従来に法律が適用外となってしまうため「民泊新法」「特区民泊」の法律に従った許可が必要とされます。
旅館・ホテル営業
旅館・ホテル営業に該当するのは「宿泊施設を設置し宿泊料金を受領することで、人を宿泊させる営業」になります。ホテルと旅館は洋室と和室の部屋数によって区別されており、共通の決まりとして一部屋あたりの床面積が7㎡以上、フロントの設置などを満たすことが義務として定められています。
簡易宿所営業
また旅館業法には旅館・ホテル営業とは区別される「簡易宿泊営業」があります。大きな違いは宿泊場所が大人数を収容できる構造や設備を備えているかということです。例えばカプセルホテルやドミトリー、キャンプで使うロッジなどがこれに該当します。またフロントの設置義務がないこともホテルと旅館から区別される条件です。
民泊新法
民泊新法とは旅館業法に当てはまらない新しい営業形態に適用される法律です。この法律別名を「住宅宿泊事業法」と言って、民泊新法の適用先は「住宅」になります。旅館やホテル施設が対象となる旅館業法とは違い、一定の要件を満たした一般の家屋やマンションなどが営業施設として扱われます。
特区民泊
特区民泊とは国が定める「国家戦略特別区域」の中で営業認可を受ける特別な枠です。国家戦略特別区域とは経済戦略を重点的に行うと国から定められた地域です。このエリア内で宿泊施設を開業する際には自治体が定める宿泊数に則ること、外国語に対応していること、近隣住民から理解を得ていることなど地域の観光振興を支える立場として様々な義務を満たすことが必要です。
ホテル開業に必要なシステム
ホテル開業に向けて円滑な業務運営を実現するのであればシステムの導入はマスト条件。システムを使うことは効率的な業務を実現することはもちろん、顧客の属性や流入経路を把握することで経営戦略を導き出すヒントを与えてくれます。ここではホテル運営に欠かせないシステムとして3つご紹介しましょう。
OTA
OTAとはOnline Travel Agencyの略称で、オンライン上の旅行代理店の事を指します。国内のサービスだとじゃらんやるるぶトラベル、海外だとExpediaやAgodaなどが有名ですね。OTAは各サイトで独自のキャンペーンを行っていることもあるので、ユーザーはそれを見て料金を比較しながら使い分けをしています。
また、各OTAごとに、ユーザー層が異なります。自社の施設のターゲット層に合わせて使い分けましょう。また、OTA掲載自体は無料の場合が多いです。そのため、まず複数のOTAに出稿して販路を広げるのも1つの戦略です。
サイトコントローラー
現在booking.comや楽天トラベルに代表されるように宿泊予約サイトは無数に存在します。それらを一元的に管理することができるシステムが「サイトコントローラー」です。
主な機能としては在庫管理でオーバーブッキングを防いでくれる機能です。例えば、じゃらんと楽天トラベルの両方で同じ部屋を掲載している場合、じゃらんから予約が入ったら、楽天トラベルから在庫を1つ削除します。
ホテルPMS
PMSはProperty Management Systemの略です。一言でいうと客室管理システムです。
清算情報や空き状況、チェックイン、チェックアウトなど客室ごとの情報を管理するツールです。
フロントスタッフはPMSの画面を見ながら、予約を参照しチェックインの対応を行います。
また、売上情報や顧客データも蓄積されていくため、経営者はPMSの数値を確認することで経営戦略を立てていきます。
人員確保がホテル新規開業の課題
ホテルを運営していくうえである程度規模が大きくなるとそれだけ働き手も必要になってきます。最初のうちは業務量や業務幅を見誤り採用人数が多すぎた、逆に少なすぎたということも往々にしてあります。
規模ごとの人数の目安
規模ごとの人数に関しては、運営体制やホテルのランクにより必要な人数は違いなどもあるため一口にはいうことはできません。
ただ、世界観光機関によると、10部屋あたり3つ星ホテルで8人、4つ星ホテル12人、5つ星ホテル20人が最適なスタッフの数だと推奨されています。(CITY-OF-HOTELS.COM:HOTEL STAFF)
HOTEL SMARTのセルチェックイン等を使えば人数削減も可能!
予算の都合上で可能な限り人件費はなるべく抑えたいという声も多いのではないでしょうか。
また、地域によっては求人を出しても人が集まらないといった課題もあります。HOTEL SMARTによってフロントスタッフの省人化、フロント業務の簡略化が可能です。宿泊者はスマートフォンで予約を行い専用のQRコードを発行します。
それを現地のタブレットにかざすだけでチェックインと鍵の受け渡しができます。受付業務の省力化によって、スタッフの人数削減に大きく貢献します。
民泊・ホテル開業はシステムを活用してコストを抑えるべき
ホテル開業に向けた必要なものについてここまでご紹介させて頂きました。最小限のコストで最大限のパフォーマンスを発揮することは誰しもが望むことです。
しかしながらやはり開業資金やランニングコストが心配な方も多いかと思います。
そんな方のためにITツールの活用は開業へのハードルをぐっと下げてくれる活路であることを最後にお伝えします。先にご紹介したHOTEL SMARTもそのITツールの一つです。HOTEL SMARTはモバイル端末のみで受付処理ができるため、フロントに人を置く必要がない無人ホテルを可能にするシステムです。
スタッフが行っていたチェックイン業務をシステムが代替するため、人件コストの大幅削減が見込めます。
ビジネスホテル、リゾートホテル、旅館、ゲストハウスなどあらゆる種別に対応したHOTEL SMARTには多言語機能も備わっており、語学人材の確保に悩みを抱える地方の施設には大きな一助となることは間違いありません。
コスト削減につながるほか人手不足という課題解消に大きく貢献することも十分期待できます。
ぜひ一度ご検討してみてはいかがでしょうか。