昨今のインバウンド需要が高まっている中、ホテルや旅館、民泊などの宿泊施設では外国人観光客への対応に様々な課題を迫られています。この記事では宿泊施設に求められている課題やインバウンド対策としての解決方法について解説します。
実際、日本政府観光局が7月19日に発表した2024年6月の訪日外客数は、前年同月⽐で 51.2%増の約314万人で、単月としては過去最高記録を更新しました。上半期の累計においても、約1778万人となり、過去最高を記録した2019 年同期を 100 万人以上上回りました。主に、東アジアでは台湾、東南アジアではフィリピン、欧米豪・中東地域では米国などからの訪⽇外客数が増加したことが、今月の押し上げ要因となったと考えられます。
参考：JNTO『2024年6月推計値（2024年7月19日発表）』
外国人観光客が直面する課題
言語の壁
外国人観光客は宿泊施設のスタッフとの効果的なコミュニケーションを妨げることがあります。またインバウンドの需要はアジア圏を中心に拡大しているため、英語に限らず中国語や韓国語など複数の言語対応が必要となることが多いです。この課題は基本的な対話だけでなく、施設内での安全指示や緊急手順にまで影響します。
外貨両替の問題
日本の宿泊施設では外貨両替サービスを提供していない場合が多くあります。特に小規模な民泊やホステルなどの宿泊施設や、地方のホテルでは、外貨両替のサービスが限られていることがあります。また一部の宿泊施設では、取り扱う外貨の種類が限られていることがあります。例えば、欧州通貨や南米通貨など、需要の少ない通貨には対応していないことが多いです。
安全とセキュリティの懸念
外国人客の安全とセキュリティを確保することは極めて重要です。チェックイン時の本人確認やパスポートや身分証などの情報収集など、安全確保のため業務が多くなる場合もあります。言語の壁が緊急対応や指示の複雑さを増すこともあり、明確なコミュニケーションチャネルと複数言語での安全情報の提供が必要です。
システムの活用による効果的な解決策
セルフチェックインシステム
多言語対応機能を備えたセルフチェックイン機は、外国人観光客の到着手続きを簡素化します。これらのシステムはチェックイン時の言語の壁を低減し、スタッフの作業負荷を減らすことも期待できます。また顧客情報の事前入力機能を利用すると、宿泊日よりも前に外国人観光客のスマートフォンなどからパスポート情報の入力や撮影させることができます。そのため、チェックイン当日の、宿泊施設のスタッフと外国人観光客の作業が省略化されるため、満足度の向上を向上させます。
宿泊管理システム（PMS）
予約管理や客室管理、顧客管理などを一元管理できるシステムです。宿泊管理システムのデータを活用しサービス向上や営業戦略の構築が期待できます。サイトコントローラー（宿泊予約サイト管理システム）との連携などを用いて、宿泊予約サイトからの予約取り込みを自動で行います。予約管理の自動化により、作業時間や人件費、ミスのリスクなどを削減することが可能です。そのため、国籍やパスポート情報など複雑で多岐に渡る外国人旅行客も自動管理することができます。
また、ホテルや旅館などの宿泊施設スタッフだけでなく外国人旅行客の満足度向上を期待できます。宿泊した顧客の基本情報だけではなく、希望の部屋番号・部屋タイプや食事のアレルギーなどを記録しておくことで次回以降の宿泊時に活用できます。
スマートロック
スマートロックシステムの活用により、外国人観光客は安全で便利な客室へのアクセスが可能になります。予約ごとに割り当てられた鍵番号やQRコードを使用して入室するため、言語に依存しない鍵の取得が可能になります。また物理的な鍵を使用しないため、紛失や盗難のリスクを防ぐことができ、宿泊施設のスタッフによる受け渡しの手間も省略できます。これにより全体の安全対策強化とスタッフの人件費削減や業務効率化を図ることができます。
デジタルガイド
多言語対応の施設案内システムは、外国人観光客が宿泊施設周辺の観光スポット、飲食店の選択肢、ホテルのサービスなど、重要な情報に簡単にアクセスできるようにします。外国人観光客のスマートフォンや客室のタブレットから閲覧可能です。またデジタル化することにより、ホテルや旅館、民泊などの施設ホームページや周辺アクティビティや飲食店の予約フォームにアクセスさせることも可能です。その他、公式SNSの導線確保やマップアプリなどの表示が容易になります。外国人旅行客も母国の言語で施設情報や周辺情報を確認できるため、満足度の高い宿泊体験が期待できます。加えて、宿泊施設のスタッフも外国人旅行客からの内線や、フロントでのお問い合わせなどを低減させることができます。
キャッシュレス決済システム
キャッシュレス決済システムの導入により、外国人観光客はクレジットカードやQR決済などを使用した取引を簡素化できます。母国の通貨で支払いができるため、両替の手間が省けます。また、宿泊管理システム（PMS）と連携できるシステムであれば、予約情報と紐づけることが可能になります。そのため、会計処理が迅速かつ正確に行え、レジ締め作業も簡略化されます。また現金の取り扱いが減ることで、人為的ミスやトラブルが少なくなり、作業効率が向上します。
結論
外国人観光客向けの宿泊施設が直面する課題に効果的に対処するためには、先進的なシステムの導入が不可欠です。多言語対応、安全性の強化、運営効率の改善を優先することで、ホテルや旅館、民泊などの宿泊施設はサービスの水準を引き上げ、競争力を維持することができます。技術の進化に対応し、外国人観光客の変化するニーズに合わせた持続的な改善を行うことが、このダイナミックなホスピタリティ業界での持続的な成功に不可欠です。宿泊施設のシステム選定においては、施設の規模や業態、必要な機能に応じて最適なシステムを選ぶことが重要です。より運用に基づいたご提案や導入のご相談がございましたら、下記のボタンよりお気軽にお問い合わせください。お待ちしております！