ホテル経営の4つ形式の違いと成功のポイントを解説

コロナ禍において観光需要が冷え込んでいる昨今、これからホテル経営を始める経営者にとっては前途多難に思えるかもしれません。

しかし、業界全体が苦境を強いられている今だからこそ、需要回復の兆しが見えた時競合と差を付ける絶好のチャンスとも言えます。

また、経営不振のホテルを安価で買収できたりと、新規参入の障壁も低くなっています。

そこで本稿では、これからホテル経営を始める方向けに、ホテル経営方式の違いをご説明いたします。
そして、ホテル向けシステムの販売を通じて1000施設以上と接してきた中で、ホテル経営に成功している施設の傾向や戦略をご紹介いたします。

ホテルの経営形態はどんなものがある?

ホテルの経営形態においては自社の資本や収益性だけでなく、コロナなど観光需要に影響を与える要素を考慮して適当なものを選ぶ必要があります。

現在日本にある宿泊施設において採用されている運営方式は「MC方式」「所有直営方式」「リース方式」「フランチャイズ方式」です。これらの方式はどれが一番効果的というものではなく、それぞれにメリットとデメリットがあります。

それぞれの内容を理解したうえで自身のホテル経営に適切なものを選択しましょう。

MC方式(管理運営受託方式)

ホテルの土地および建物を有する所有者(オーナー)が外部の会社に運営を委託する方式です。オーナーは運営会社に委託料金を払い、委託を受けた運営会社が代わってホテル運営を行います。

オーナー側は資金提供を行うことで不足した運営ノウハウを補うことができ、一方の運営者は建物などの設備投資が必要ないため低リスクで運営できるのがメリットです。

また、経営者と運営者がそれぞれ得意領域に集中できるため経営全体のパフォーマンスの向上が期待できます。一方で、複数の関係者が経営に携わるために、意志決定に時間を要し経営判断にスピード感が欠けることがネックとなります。

所有直営方式

所有直営方式はホテルの所有と運営を同一の会社が行う経営方式です。帝国ホテル、プリンスホテル、リーガロイヤルホテルなどで採用されており、日本では一番オーソドックスな運営形態です。

所有直性方式は経営方針に所有者と運営者が同じであることから、機動力のある経営判断が可能となり、意思決定に時間がかからないことがメリットです。また経営者と運営者が同じであることから、責任の所在が明確となります。そして、土地や建物など資産を有していることから、金融機関からの融資を受けやすくなるという利点もあります。

リース方式

リース方式はホテルの所有者(オーナー)が建物を貸し出し、運営会社がこれを賃借し経営する方法です。日本では東横イン、ホテルルートイン等のホテルで取り入れられています。

運営会社はリースによってホテル運営ができるため初期投資のコストが軽減され、新規開業のハードルを下げられます。しかし一方で、収益状況に関係なくオーナー側にリース料金を払うことが義務とされます。

今回のコロナなど需要が大きく減少したタイミングでは、運営者側の負担は大きくなってしまう可能性があります。

フランチャイズ方式

加盟店舗であるホテルが本部の大手ホテルにロイヤリティ(契約料金)を支払うことでその経営ノウハウとブランド使用権を与えられる運営方式です。

小規模ホテルは運営ノウハウを取り入れることで盤石な経営基盤を整えられ、ブランド力の高い看板を使うことで安定した集客が期待できます。

運営本部となるホテルは看板を貸すことでシェアの向上とフランチャイズフィーを獲得できます。この方式を採用しているホテルとして日本ではアパホテルが有名です。多くのフランチャイズ契約では、加盟店は経営状態に関係なくロイヤリティを払う義務があることに注意が必要になります。

ホテル経営を始めるために必要なもの

運営方式や業態に関係なくどんな宿泊施設を開業するにも「資金」「許認可」「運営システム」の3つが必要不可欠となります。

ホテル開業・運営資金

一般的にホテルの新規開業には1500万~3000万円程の資金が必要とされています。その内訳としては建設・リフォーム費、人件費、集客費(宣伝費用)、物販購入費の4つです。開業には莫大な資金投資が必要ですが、いかようにも削減する方法はあります。

例えば、賃貸マンションや古民家など既存施設を再利用することで建設・リフォーム費の削減ができますし、PMSを導入しフロント業務を省力化することで人件費も抑えられます。集客費はOTA出稿やSNS運営など、労力と時間さえ割けば少額による個人での対処も可能です。客室に必要な設備やアメニティを正しく取捨選択することで物販費用もリーズナブルとなります。

旅館業法許認可

ホテル運営には国あるいは自治体からの許認可が必要です。許認可には「旅館業法」「民泊新法」「特区民泊」の3つの種類があり、運営するホテルの形態によって必要な許認可が異なります。

旅館やホテル・簡易宿泊所を運営する場合は旅館業法の申請が必要ですし、民泊を開業するには民泊新法に則った許可が必要です。特区民泊は大田区や大阪市など国が指定する特別なエリア内での開業に必要な許可のことです。

通常、許認可は開業するエリアの自治体の保健所に申請手続きをすることで発行されます。場合によっては申請して許認可を得るまでに時間がかかることもあるため開業日から逆算して申請しましょう。

ホテル運営システム

業務の効率化と経営の盤石化を目指すのであれば運営システムは欠かせません。主に必要なシステムには拡販経路を広げる役目となる「OTA(Online Travel Agency)」、各OTAの予約状況を管理する「サイトコントローラー」。そしてフロント業務や稼働率などの経営指標を一元管理する「PMS」の3つがあります。

運営システムというと小難しく感じますが、OTAは楽天トラベルやブッキングドットコムに代表されるオンライン予約サイトのことです。またサイトコントローラーとPMSも最近はユーザーの使いやすさに特化し、導入に時間がかからない製品もあります。

他にもホテルの新規開業に必要なものについても解説しています。ぜひご参考にしてください。

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コロナのホテル経営への影響は?

ホテル業界はコロナの影響によって客足が遠のき、軒並み厳しい状態であるとの見方が続いています。帝国バンクの調査によると2020年の宿泊施設の倒産件数は125件で、そのうちコロナウイルス関連による倒産は72件でした。

このデータからもホテル経営が苦闘を強いられているのは間違いないでしょう。一方で宿泊施設の低価売却が加速している今、コロナ後の需要回復を見越してホテル事業の買収する動きも見られます。2021年3月下旬、近鉄グループホールディングスは所有している8つの物件について、米大手投資ファンドのブラックストーン・グループに約600億円で売却することを発表しています。

また都内のホテル運営会社が沖縄県のホテルを買収するなど、潜在的な集客力を持つ一部のホテルはアフターコロナの資産としてポジティブな評価を集めているようです。

参考データ:https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p210405.html

ホテル経営の成功のポイント

新型コロナの影響でホテル経営の成功のポイントも大きく変わりました。

これまで、多くの施設様と接してきた中で特に経営に成功している施設では、下記の2点に注力していましたのでご紹介いたします。

国内宿泊需要の囲い込み

現在、国はアフターコロナを見越してインバウンドに関するを講じています。しかし、国土交通省観光庁の発表によると2020年4月の訪日外国人の数は2900人まで落ち込んでおり、外需の回復が期待できるのはまだ先のようです。観光需要にインバウンドが見込めない今、ホテル経営は成功が望めないかというと実はそうでもありません。

インバウンド獲得に気を取られがちですが、コロナ前において大半は国内需要が占めていました。観光庁のデータによると2019年8月には国内宿泊者数が訪日外国人、日本人の合計が過去最多の約6000万人に達しています。そのうち約5000万人は日本人であり宿泊需要の大部分を国内需要でまかなっていました。

つまり、コロナ渦において国内宿泊者の総数は減少に転じているものの、市場の需要を担う日本人をターゲットにした戦略が経営を成功に導くポイントと言えます。コロナや海外情勢の影響を比較的受けにくい国内顧客の囲い込みができれば安定した収益が可能となるのです。

データドリブンな意思決定

ホテルをはじめとした宿泊業界はまだまだレガシーな経営体制が残る業界であります。

ホテルの収益を左右する客室単価を支配人の勘と経験で意思決定している施設が多いのも事実です。

しかし、勘と経験に頼ったホテル運営では、当たり外れの波が大きくなってしまうことに加えて、ノウハウが属人化してしまうリスクもあります。

特に施設規模が大きかったり、複数棟展開される予定がある施設ならなおさらこれらの問題は避けなければなりません。

ADRやRevper、OCCなどホテル業界でないとなかなか耳にすることのないような指標も、ホテル経営においては重要な意思決定要因となります。

PMSやレベニューマネジメントツールなどを導入して、データドリブンな意思決定をしていくことが収益期待値の最大化し、安定したホテル経営につながります。

ADRとは?客室稼働率(OCC)やRevPARとの違いと算出方法を解説

固定費となる人件費の抑制

今後のホテル経営にはホテル需要に影響を与えうる様々なリスクに備えることが必要です。過去にはリーマンショックや東日本大震災のような事例もあり、コロナウイルスだけがホテル経営に影響を与える要素ではありません。

このような想定外の災難に対して雇用を増やすことは大きなリスクとなり得ます。なぜならば、日本の雇用制度の中では、一度雇用してしまうと経営状況が悪化したからと企業の一方的な都合によって解雇が難しいためです。

また、企業存続のために従業員をリストラすれば、それはそれで「従業員を大切にしない会社」などとレッテルを貼られてしまいかねません。

先行きがなかなか見えないこの時代、必要最低限の人員でオペレーションができる体制こそ、次世代のホテル経営に求められ理想とも言えます。

HOTEL SMARTをはじめ、省人・省力化のためのシステムは多数登場しています。ぜひ一度ご検討してみてください。

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まとめ

ここまで、ホテルの経営方式の違いや必要なもの、経営を成功させるポイントについて紹介してきました。

特に、現在は変化が激しい時代です。この記事をご参考にしていただきながらも常に最新情報をキャッチアップし続けてください。

HOTEL SMARTをはじめとしたホテル向けのITシステムもあなたのホテル経営を手助けをしてくれます。

システム活用でルーティン業務の効率化、チェックイン業務の業務の省力化が可能となるのです。結果としてムダな人員コストを削減できいざというときのリスクマネジメントに貢献してくれます。強固な経営体制を整えるため、ぜひこの機会に導入の検討してみてはいかがでしょうか。

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