ホテル・旅館で求められる宿泊DXとは?デジタルトランスフォーメーションの進め方

初めまして、Kazです。私はラグジュアリーからミドルクラスのホテルを中心に、接客の現場で15年以上過ごしております。これまでオペレーションや法人営業のマネージャーを経て、総支配人やエリアマネージャーも経験しました。主に事業再生・リブランドホテルでの新規・再起担当です。

現在はその経験を活かし、事業再生や経営改善を行うホテル・旅館・飲食店専門のコンサルティングファーム代表です。日々、お取引先とともに売上アップとコスト削減に取り組んでいます。今回は、私の経験を基に、宿泊業界におけるDXの必要性とその対応についてお話しします。

ホテルスマートではこれまで、紙での管理が当たり前だった宿泊台帳や対面でのフロント業務をデジタル化できます。ぜひこの機会にご検討ください

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DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義とは?

DXとはDigital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略で、2004年 エリック・ストルターマン氏が提唱した「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」が基になっている考え方です。

難しそうに聞こえますが、例えば、スマートフォンやウォッチでのワンタッチ電子決済、位置情報を使ったナビゲーションなど、探せば身の回りにたくさんあります。ITの進化・浸透によって私たちの生活が便利になっている、それがDXです。

DXが遅れている宿泊業界

宿泊業界でも、様々な場面でDXを見かけるようになりました。宿泊や旅行の予約は、実店舗の旅行代理店からオンライントラベルエージェント(OTA/ネット上の旅行代理店)へと様変わりし、今ではOTA上で事前決済を行うなど、旅行前にある程度の手間を省くことができます。

また大手ホテルチェーンでは独自のDXサービスを展開、それが他社との差別化に繋がり、利用客を大幅に増やしています。

ただ、それは一部大手資本の例であり、大多数の中小宿泊施設、特に地方の宿では相変わらず手作業による部分は多く、人海戦術に頼っています。これは経営者が主に中高年齢層でIT関連に疎かったり、また「おもてなしは人がおこなうもの」という従来の考え方が理由でもあります。

なぜ今、宿泊業界にDXが求められるのか

様々な業界でDXが進む中、宿泊業界においてもその必要性は日々高まっています。「うちは小規模なので関係ない」「難しそうでよくわからない」という声もよく聞きます。

ただ、時代の流れに取り残されることは、そのまま衰退へと繋がる恐れがあります。規模に関係なく、なぜ宿泊業界にDXが必要なのか、いくつかの項目にわけて考えていきましょう。

コロナ禍でのパラダイムシフト

これまでの宿泊施設では、「フロントにスタッフがいる」「チェックイン・チェックアウト時に各種手続きがある」のは当たり前でした。この対応に人員が必要なため、ほとんどの宿では短時間のパートやアルバイトを雇っています。ただ、コロナ禍で時短・休業を余儀なくされ、またご利用客減によるシフト調整のため、スタッフたちに仕方なくお休みをお願いした宿泊施設が多くあります。

しかし、その方たちの多くは生活のためすでに他業種・他企業に転職されており、いまさら「戻ってきて」とお願いしても難しいのが現状です。その分、いま居るスタッフが担うことになり、長時間勤務などの問題も発生しています。

また、今後の感染状況によってはこれまでと同様の調整が必要になる可能性もあり、再雇用してもいいのか躊躇している経営者も少なくありません。

人口減少・働き手の減少

現在、少子化・高齢化が進み、労働人口が減少しているのはご存じの通りです。その中で、本当に自社に合った人材を確保し続けていけるか、この点はすでに問題となっている企業も多いでしょう。

最近、マクドナルドでは積極的に高齢者雇用を行っており、どの店舗でも見かけるようになりました。

以前は「マクドナルドにおじいちゃん?おばあちゃん?」と違和感を覚えましたが、いまはそれが当たり前の光景になっています。

高齢者雇用は、生涯現役という取組と若い世代の労働人口減を補うという二面性があります。ただ、高齢者特有の体調・健康問題もありますし、そもそも今後は高齢者も減っていくことを念頭に置いておかなければなりません。

ホテル・旅館でのDXの事例

そんな人手不足や超過労働時間を解消し、またその分のコストカットに成功しているのが、すでにDXに取り組んでいる様々なホテルです。有名な事例では、アパホテル、変なホテル(敬称略)があります。

アパホテル

アパホテルは、滞在中にスタッフと全く接することなく利用できます。アパトリプルワンシステムと呼ばれるこの仕組みは、予約・チェックイン・チェックアウトにおいて「非接触」「待たない」「並ばない」を実現しています。

同社オリジナルアプリを活用した「1ステップ予約」「アプリチェックインの1秒チェックイン」「エクスプレスチェックアウトポストの1秒チェックアウト」など、予約段階から鍵の受取・返却まで、実にスムーズな流れです。徹底したDX例として、今後のホテルDXの大きなモデルケースになっています。

変なホテル

HISグループが手掛ける変なホテルは、恐竜ロボットをフロントに設置、彼ら?がチェックイン・チェックアウトのお手伝いをしてくれます。

またコンシュルジュやロッカーサービスなどにも対応、さらには廊下など共用部分を中心にロボット掃除機ルンバが清掃を担当する館もあります。たまにフロント周りにスタッフさんが1,2名いらっしゃる場合もありますが、あくまで一時的なサポートの役割です。こちらのホテルでもスタッフをお見かけするのは、チェックアウト時に一般清掃の方々とすれ違う程度です。

またこれはCS面でのDXになりますが、当社取引先の事例では、部屋備え付けのタブレットやTV画面に大浴場の混雑具合が表示されています。快適にご利用いただける状況かどうか、一目でわかります。小さめの浴場では、混雑具合はそのままCS低評価に跳ね返ってきます。お客様が快適にご利用いただけるかを可視化し、浴場まで足を運んでいただく前に判断していただけます。

宿泊施設がDXに取り組むには

前述のように、大手は独自にDX展開ができますが、中小にとっては人的にも費用的にも厳しいものです。そこで様々なプロセスがまとめられたシステムやアプリを利用するのも一つの手です。

例えば、セルフチェックインシステム HOTEL SMART の場合、これ一つでご予約時のパスポート情報取得(外国人客の場合)や24時間オンライン本人確認・宿泊者台帳の取得に加え、4カ国語にも対応し、フロントの完全無人化も可能です。また、各種サイトコントローラー連携やスマートロック連携もあり、部屋割り機能や決済機能もご利用いただけます。実際にいま担当されている方々の多くの手順・労力を、システム一つに置き換えることができます。

この様なシステムを導入する際、初期費用やランニングコストで躊躇される方は少なくありません。ただ、いまこの業務にどれだけの人件費がかかっているか、一度計算してみましょう。仮に正社員のサポートとして、多忙時間帯だけ時給1,200円のスタッフを1日6時間(朝夕3時間ずつ)雇ったとします。休業日や予約が少ない日を考慮し、半月の15日だけ働いて貰ったとしても、7,200円x15日間で108,000円です。DX化により、この大部分を置き換えることができます。業務量がさらに増えた場合、その費用対効果はますます上がる計算です。

また、コロナ禍以前より「スタッフにはあまり干渉して欲しくない」というお客様が増えています。今後はその傾向が加速すると思われます。この HOTEL SMARTのようなシステムはCSの面でも有効です。

人手不足・経費削減の解決方法として、また新たなおもてなしスタイルとして、ぜひ一度ご検討ください。

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