ホテルや旅館などの客室にちょこんと置いてある「内線電話機」。宿泊施設の利用客からすれば、なんてことない客室備品のひとつである内線電話機ですが、施設運営側からすると、時折それは悩みのタネになる代物でもあります。
というのも、本体だけでなく、回線の劣化でも都度コストが発生してしまうからです。特に、硫黄の影響をウケる温泉宿ではその傾向は顕著かと思います。
そんな「内線電話機」について、ホテルのフロントスタッフとして実際に従事していた経験のある筆者が、従来の内線電話機が抱える問題点と、工事不要でタブレットから接続可能な新しいカタチの内線電話機についてご紹介いたします。
多くのホテル・旅館で導入されている内線電話
「内線電話機」はほとんどのホテルや旅館などの宿泊施設で導入されています。
その主な機能としては、下記があげれらます。
- 在室中のお客様とホテルスタッフとの連絡
- 別々の部屋にいるお客様同士の連絡
- お客様が外線電話として利用
- モーニングコールの設定
などが挙げられます。
しかし上記に挙げたものはあくまで「お客様主体」の利用方法であり、ホテルスタッフもまた別の用途で内線電話を利用しています。
たとえば、
- お客様の在室状況の確認
- 客室の清掃状況の確認
- 使用できない客室の管理
などがあります。
内線電話機はホテルのシステムと連携していることが多く、特にホテルスタッフが客室の状況を把握するために大事な役割を果たしているため、運営側にはなくてはならない存在なのです。
ホテル・旅館が抱える内線に関する課題
貴重な存在である内線電話機にも、昨今では様々な課題が挙げられています。
内線電話が抱える問題点についてまとめています。
内線電話機設置における最大の課題として「コスト面」が挙げられます。
ホテルの形態や規模によって生じる価格はまちまちですが、栃木県のとある観光ホテル(客室数41室+そのほか館内施設)では、内線電話機設置に初期費用と年間費用をあわせるとおよそ400万円近く発生したそうです。
また、機器の故障などのイレギュラーな事態が発生してしまうと、電話機維持だけでもかなりの費用が必要になってきてしまいます。
これがさらに200室、300室を保有するような大規模の宿泊施設になってくると、その開設・維持費用は計り知れません。
実際、旅館などの温泉施設の場合、温泉に含まれる硫黄成分が電話機の故障に繋がったり、筆者が最近まで勤めていたホテルでは、清掃の際に消毒のために使ったアルコールで電話機が壊れてしまったケースも何件かありました。
ただでさえコロナ禍で多大な影響を被っている宿泊施設にとっては、そういった備品ひとつひとつの故障が大きな痛手となってしまいます。
では、そんな繊細で、かつ維持費もかさんでしまう内線電話機と施設運営側はどのように向き合っていけばいいでしょうか?
旅館・ホテルの内線に関する規定はない
これまで散々内線電話機の必要性や問題点を述べてきましたが、そもそもなんと旅館業法として内線を設ける必要があるとはされていないのです(※一部自治体レベルでは保健所から指導が入っているケースはあります)。
実際、日本全国に166店舗を展開する大手ビジネスホテルチェーン「スーパーホテル」ではすでに内線電話を廃止しています。
それにより電話機の維持費を削減できるだけでなく、外線電話で発生した電話料金をめぐるお客様とのトラブルをなくすことにもつながり、スタッフの負担を軽減させることにも繋がったようです。
特に、こと外線機能に関しては、いまやほとんどの人が個人の携帯電話を所有しているので、各階の廊下などに電話機を一機ずつ設置していれば運営上はそれほど問題はなさそうですよね。
しかしそうはいうものの、「いまいち電話機撤去に踏み切れない」、「やはり客室にはフロントと直接連絡の取れる設備が必要だ」、そう考える運営側も少なくはないでしょう。
(元フロントスタッフの私自身も、内線がなくなりいざ客室と直接連絡が取れなくなると考えると正直不安だと思います…)
そんな宿泊施設運営に携わる方にぜひおすすめしたい、最新式の「内線機」をご紹介いたします。
タブレット型内線システム「tabii」
昨今、内線電話機の代わりに「タブレット型内線」を導入している宿泊施設が増えてきています。
タブレット型内線とは、その名の通り内線機能を備えたiPadのようなタブレット端末のことです。
使い方はよくあるタブレット端末とまったく同じで、選びたい項目を指でタッチして操作するだけ。
しかし「タブレット型内線」は、なにも画面をタッチしてフロントに電話を掛けるだけじゃありません!(それならそれまでの電話機の受話器を上げればいいだけですから!)
動画視聴やインターネット検索など、客室で一般的なタブレット端末と同じような使い方が出来てしまいます。
特に、xxx(エイジィ)株式会社が運営する宿泊施設向け客室タブレットサービス『tabii』は
【客室タブレットで届ける!!新しいおもてなし】
をモットーに、お客様にはより快適なサービスを、そして事業者には業務効率化やコスト軽減などの運営サポートを提供しておられます。
具体的な機能は下記の通りです。
☆基本機能☆
- 施設情報
館内案内、宿泊約款、お知らせ、Q&A、アンケート、Wi-Fi表示
- 周辺情報
観光地、飲食店、周辺情報、アクティビティ予約、飲食店予約、QRコード
- エンタメ便利機能
・動画閲覧、多言語LIVEニュース、アラーム、天気・時刻、利用レポート、自動履歴削除、盗難防止
特に「館内案内」や「観光地・飲食店・周辺情報」などは、それまでパンフレットなど紙媒体で作成していた場合にはかなりのコスト削減に繋がりますし、「Wi-Fi表示」や「動画閲覧」、「多言語LIVEニュース」など、近年の客室での過ごし方にフィットした機能も充実しています。
またオプション機能として、英語・中国語・韓国語への「多言語対応」、「内線電話」、「混雑状況表示」、「ルームオーダー」、「loTリモコン」などバリエーション豊かなサービスが存在し、カスタマイズ性にも富んでいます。
特にこういったご時世では、なるべく人との接触を避けるための「混雑状況表示」や「ルームオーダー」機能は重宝しますよね。
(スタッフ側からしても業務効率化に繋がりそうで助かります…)
【まとめ】最新のホテル・旅館の内線事情
今回は客室内線電話機をめぐる宿泊施設の現状をもとに、最新式の内線機器『tabii』を紹介いたしました。
筆者が勤めていたホテルはもっぱら電話機型の内線だったので、正直こういった最新式のタブレット端末を導入しているホテルが羨ましくてなりませんでした。
「もしうちのホテルもタブレット端末を導入していれば省けていただろうな…」と思う業務がパッと思いつくだけでもいくつもあり、その分、「対面での接客に割ける時間が増えていたな」と思うと、歯がゆく感じる点も少なくありません。
また、特にこれからの時代、いわゆる「デジタルネイティブ」「Z世代」と呼ばれる年齢層の人たちが社会の大半を占めるようになる中で、宿泊施設側もそれに対応した施設づくりであったりサービスの需要が求められてくるはずです。
改めて施設づくりを見直そうと考えている宿泊施設の皆様、そしてこれからそういった業務に携わろうとしている皆様、これを機にぜひタブレット型内線を導入してみてはいかがでしょうか。