ホステルとは?ホテルとの違いは?

ホステルという言葉を聞いたことがある方でも、その定義や他の宿泊施設との違いをじっくり考えたことがある人は意外にも少ないのではないでしょうか。

近年では日本の文化体験に関心ある訪日外国人の増加や旅費を抑えて人との交流を目的にしたいという内需ニーズの変容によって、ホステルの価値が再注目されつつあるのです。

今回の記事ではそんなホステルの特徴とカプセルホテル、ホテル、ゲストハウスとの違いを紹介し、ホステル運営のポイントについても触れていきます。

ホステルとは?

 「ホステル」が発祥したのは約100年前、1900年のドイツでした。小学校教師をしていたリヒャト・シルマンが授業の一環として野外活動を学生達と行っていた時のこと。突然の豪雨に見舞われてしまい宿泊場所を探すのですが、学生が気軽に泊まれる施設がなく緊急的に小学校に避難を余儀なくされたのです。リヒャト・シルマンはこの経験から青少年らがもっと気軽に宿泊できる施設が必要だという着想を得て、彼のアイデアはのちに「ユースホステル運動」に発展してきました。

そしてユースホステル運動は「国際ユースホステル連盟」の発足の先駆け運動となったのです。現在この機関はユースホステルの世界的ネットワークの中枢を担っており、ユーホステルの普及に寄与しています。

ホステルが日本に入り込んだのは1950年代のことでした。1951年に初めて日本ユースホステル協会が設立されます。ちなみにホステルとユースホステルは同じ意味ですが、ユースホステルと名乗れるのは日本においてこの日本ユースホステル協会に加盟している施設に限られます。

今では北海道から沖縄まで日本全国に約220か所のユースホステルが点在し、青少年のほか子どもから年配まで幅広い年齢層に宿泊を提供しています。日本のホステルの役割はただ宿泊場所を提供するにとどまらず、研修やセミナーの会場として活用され、地域コミュニティと密接な関係を持つことからその土地に関する情報の発信の場としても機能しています。

参照:https://omotenashi.work/column/bits_of_knowledge/7162

ホステルの特徴

 ホステルの最たる特徴は宿泊料金が低価格である点です。ホステルの起源が青少年のための宿泊施設であったことからも理解できるように、他の宿泊施設と比べても一泊あたりの値段が安価に抑えられています。

現代のホステルでは施設によって違いはあるものの、日本だと1泊あたりおおよそ3000円(素泊まり)が平均的な価格です。また寝床は二段ベッドや簡易的なベッドである場合が多く、部屋は他の宿泊客と空間を共有するような造りになっています。そのほかキッチンやお風呂、トイレも共用であることが多くこうした構造上の特徴から他の宿泊客とのコミュニケーションが増えるという点もホステルの特徴です。日本ユースホステルが管理するホステルは宿泊施設というよりは一般的な一軒家家屋のような外観である建物がほとんどです。

ホステルとカプセルホテルの違いは?

 ホステルとカプセルホテルは宿泊形態が違いますので、異なる宿泊施設であることはなんとなく感覚的にお分かり頂けるでしょう。トイレやお風呂が共有であることは共通していますが、カプセルホテルは一人ずつに区切られた寝床が設けられておりこの点ホステルとは決定的に構造が異なります。

しかし、日本の旅館業法における種別で見ると、ホステルもカプセルホテルも同じ簡易宿泊施設に区分されているのです。そのため構造上満たすべき条件は同じであるのです。

旅館業法については下記記事をご覧ください。

ホステルとホテルの違いは?

 ホステルとホテルは名前が非常に似ていることもありよく混同されがちです。両者の大きな違いは「提供する価値」にあるといえます。ホテルが気の利いた接客や上質な室内空間といったおもてなしに重きを置いたサービスであるのに対して、ホステルは宿泊者同士のコミュニティ形成の場を提供している側面が強くあります。

例えばホテルは個別のプライベート空間を提供しますが、ホステルは共用スペースが多く寝室さえも他人と一緒になることもあります。

ホステルでも朝ごはんを提供してくれるサービスがありますが、備え付けの共用キッチンで宿泊者が自ら料理できるという点もホテルとは異なる特徴でしょう。他者と空間を共有し他では体験できないコミュニティの輪に入ることもホステルならではの宿泊体験です。

またホテルはアメニティを提供することで館内の快適性を提供しますが、ホステルは宿泊場を提供すること自体に目的があるためアメニティは自身で用意しなくてはいけないことがほとんどです。加えてホステルとホテルは旅館業法においてを明確に区別されています

。ホテルに区分けされる宿泊施設には洋式の構造を取り入れている必要があり、種別としては「ホテル営業」に含まれますが、ホステルは必ずしも洋式の構造は必要ありません。またホステルは宿泊場所を複数の人数で共用する構造を持った宿泊施設と定義されており「簡易宿泊所営業」と位置付けられています。

参照:https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei04/03.html

ホステルとゲストハウスの違いは?

 ホステルとよく間違われやすい宿泊施設としてゲストハウスもあります。確かに低価格帯の提供やアメニティがないこと、共用スペースがあることなど共通点も多く、また旅館業法においても同じ「簡易宿泊所営業」に含まれることもあり一緒くたにされるのも無理はありません。

しかしホステルとゲストハウスも明確に線引きのされる別の宿泊施設です。ホステルとゲストハウスは構造上の造りによって分けられ、例えばホステルでは基本的に24時間対応のフロントが必要であることや一軒家など一般家屋が利用されることが多くあります。

その点ゲストハウスでは必ずしも24時間対応のフロントは必要とされず、また建物も貸テナントが利用されることが主流です。構造上やセキュリティ上のルールにおいて多少違いが見られるのです。

運営するならホステルとゲストハウスのどちらがおすすめ?

 運営形態の似ているホステルとゲストハウス。どちらに舵を切るかはこれから運営を考える経営者にとって悩みどころです。ゲストハウスのメリットは宿泊者や旅行客、またスタッフを含めて関係者全体で交流ができることです。しかし、その一方で交流用のスペースが必要なため客室数に限りができ、また対応コストもかかり利益率が下がるというデメリットもあります。対してホステルは簡易的な構造で、客室数やベッド数を確保すればキャパシティーを柔軟に調整できますし、フロント業務等もそこまで労力がかかりません。

加えてHOTEL SMARTのようなセルフチェックインシステムを利用することで、チェックイン対応を自動化しで更なるコスト削減も可能となります。

利益率や運営コストを加味するとホステルもおすすめの運営形態といえます。

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まとめ

 今回はホステルの特徴と他の宿泊施設との違いについてご紹介しました。日本においてホステルの数はビジネスホテルやシティホテル、旅館といった宿泊施設に比べて数はまだまだ少ないのが現状です。

しかし訪日外国人の増加や旅行客が体験型の宿泊を希望しているという消費者のニーズ変化の影響を受けて、近年ホステルの注目度は高まりを見せています。今後のホステル需要の行方を見据え、選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

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